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【大阪の本気!】これが戦前の「大大阪時代」だ!観光プロモーション用フィルム『大大阪観光』【1930年代制作】

大阪市民に大阪府民の皆さん、近代史好きの皆さんに「戦前趣味」の皆さんも、お待たせしました。とっておきの映像ですよ~!

 今でこそ、やれ「お笑い」だのやれ「コナモン」だのが「名物」だとステレオタイプなレッテルが貼られている「大阪」というまちですが、世間一般で流通しているばかりか肝心の大阪人に住む人々、大阪を商品として売り出したい人たちが思い描いているその「イメージ」とは、飽くまでも戦後に在阪企業などが生み出した「創られた伝統」とでもいうべきものです。
 戦前期の大阪の「文化」の華やかさ、特に1930年代の盛り上がりは凄まじいものでして、所謂「大大阪」と呼ばれる時代がそうです。
 アジア・太平洋戦争という悲しく愚かな戦でメチャクチャに壊れてしまったその往にし辺の「大大阪」の残照は今や街のそこかしこに微かに残り偲ばれるばかりですが、いったいどんなものだっのか?
 幸い、往時を映像と音声で見られるよいフィルムがあるんですよ!2009年に大阪市交通局(現・Osaka Metro)が制作・限定販売したDVD『大阪市交通局昭和レトロ映像2』に収録の、『大大阪観光』という1930年代に大阪市電気局(大阪市交通局の前身)が制作した観光プロモーション用の映画に、「「大大阪」のイイところ!」がこれでもかというほど詰まっています。著作権は以前は大阪市交通局にありましたが、もう無くなってしまったことと1953年公開以前の映像なので、ヨシとしましょう。

 個人的に映像を見て考えるのが、天皇家に関する事象に対しナレーションがやけに「上下関係」に関する尊大な敬語を使っているのが皇族の「パレード」をスマホで一般人が撮影する今と違ってやけに凄まじくて隔世の感があるな(天皇を尊敬されている方には悪意はありませんが、私は正直言って笑ってしまいます。もっと言えば戦前期の日本の国家神道などに関する本を読むと、そういう言葉の大洪水です)という点と、空を突く数多の煙突がもうもうと煙を吐く様をナレーターが自慢そうに語る点が環境保護の理念が浸透した現代では考えられないなという点、それから、すでに投稿した宮本輝の『泥の河』に出てくる水上生活者の姿をカメラに収めて(やや上から目線気味に語って)隠さずに紹介している点ですね。
 これも、昔も今も市民のまち、いいまち、面白いまち、の「大阪」ならではでしょう。
 ただし注意すべきは、このフィルムは「観光」のプロモーションであるために観光客に売り込みたい「大大阪」の光の面しか映されていない、即ち「表層」であること。そして何よりこの「大大阪」の華やかさは15年戦争という事態に臨んで景気がよくなったことの恩恵であること、さらに煌びやかさは「恐怖」への「怯え」や「不安」といったものとコインの裏表一対の関係である点です。
 そこを注意深く深読みして映像を読み解くと、面白い発見に気が付かれるでしょう。

 もちろん、投稿したのは2022年ですけれども、来る2025年の「大阪万博」の暁にはこれほどの華やかさと風格を演出できるでしょうか?
…開催の是非は敢えて問いませんが、一市民として遠目に見て待ちたいあたりです。

2022年1月16日投稿
2022年1月17日本文改稿
桔梗刈萱 Η ΑΛΗΘΕΙΑ ΕΛΕΥΘΕΡΩΣΕΙ ΥΜΑΣ

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